店舗を運営していると、会計、在庫確認、売上集計、棚卸、顧客情報の管理、スタッフ対応など、日々さまざまな業務が発生します。特に複数店舗やマルチチャネルで運営している場合、情報管理が負担になりがちです。こうした店舗運営の情報をまとめて管理しやすくするのが、店舗管理システムです。売上や在庫を見える化するだけでなく、業務改善や業務効率化、ECとの連携、複数店舗の運営などに役立ち、生産性向上につながります。
店舗管理システムには、会計を中心に使うもの、在庫管理に強いもの、多店舗運営に向いているもの、ECと実店舗をまとめて管理しやすいものなどさまざまな種類があるため、導入する場合は、自店舗の運営に合ったシステムを選ぶことが大切です。
この記事では、店舗管理システムの概要、導入の目的、選び方や比較ポイントを解説し、おすすめの店舗管理システムを紹介します。

店舗管理システムとは
店舗管理システムとは、店舗運営に必要な情報や業務をまとめて管理するための仕組みのことです。会計や売上、在庫、商品情報、顧客、スタッフ、複数店舗の情報を一括管理するタイプもあれば、店舗情報を管理するためのツールや本部と現場の情報共有を支援するものもあります。
主な店舗管理システムの種類には次の4つがあります。
- POSレジ(POSシステム):会計や売上管理を中心に、在庫管理、顧客管理、スタッフ管理、売上分析などをまとめて行うタイプです。サービスによっては、商品情報の登録やECストアとの連携にも対応しています。店舗運営の基本となる仕組みのため、まず最初はPOSシステムの導入から始める事業者も多いです。
- 受発注システム:受注や発注に関わる作業をまとめて管理するシステムです。発注業務の効率化や、発注漏れ・入力ミスの防止に有効です。在庫管理や棚卸、商品情報の管理で使われます。飲食店や小売店では、店舗ごとの在庫状況を見ながら本部や仕入れ先への発注を進めやすくなります。
- 多店舗業務支援システム:本部と各店舗の情報共有や、複数店舗の運営を支援するシステムです。連絡事項の共有やマニュアルの配信、店舗間のナレッジ共有だけでなく、店舗ごとの売上や運営状況を相互に把握できるような仕組みを備えているものもあります。キャンペーンの実施内容や売場づくりの指示などを、本部から複数店舗へ同じ形式で共有できるようになるので、多店舗展開している企業では特に役立つ仕組みです。
- 店舗情報管理ツール:Googleビジネスプロフィールや地図サービス、SNS、口コミサイトなどに掲載される店舗情報を一元管理するためのシステムです。営業時間や休業日などの情報を複数媒体でまとめて更新したい場合に向いています。来店前の情報収集に対応しやすくなるため、実店舗への集客やECとの導線づくりに役立ちます。
機能がまたがるサービスも多いため、導入を検討する際は、種類だけで見るのではなく、自店に必要な機能がそろっているかをベースに考えることが大切です。

店舗管理システム導入の目的
- 会計や売上集計の手間を減らす
- 在庫状況をリアルタイムで把握できるようにする
- 棚卸や発注業務の負担を軽減する
- 手作業や二重入力を減らし、入力ミスを防ぐ
- 欠品や在庫切れによる売り逃しを防ぐ
- 顧客情報や購入履歴を接客や販促に活かす
- 複数店舗の売上や在庫を一元管理する
- ECと実店舗の情報を連携し、運営をまとめて管理する
- 売上データを分析し、運営改善に役立てる
- 本部と店舗、スタッフ同士の情報共有を円滑にする
- 店舗情報の更新や管理を効率化する
- Googleビジネスプロフィールや地図サービス上の口コミ対応をまとめて進める

店舗管理システムの7つの選び方・比較ポイント
- 導入の目的と必要な機能を明確にする
- 店舗数や販売チャネルに合うものを選ぶ
- 外部ツールや既存システムとの連携性を確認する
- セキュリティ対策が十分かを確認する
- 現場で使いやすく、定着しそうか試す
- 総コストを確認する
- サポート体制や安定性を確認する
1. 導入の目的と必要な機能を明確にする
店舗管理システムを選ぶときは、最初に導入の目的と必要な機能を整理することが大切です。会計や売上集計を効率化したいのか、在庫管理を整えたいのか、顧客情報を販促に活かしたいのかによって、選ぶべきシステムは変わります。目的があいまいなまま導入すると、必要な機能が足りなかったり、反対に使わない機能が多すぎたりすることがあります。
導入によって改善したい点を挙げ、優先度をつけて整理しておくと、自店に合ったシステムを選びやすくなります。
2. 店舗数や販売チャネルに合うものを選ぶ
1店舗のみで使う場合と、複数店舗を運営している場合、ネットショップもあわせて運営している場合では、重視したいポイントが異なります。
複数店舗を運営している場合は、店舗ごとの売上や在庫を一元管理できるかは重要なポイントです。ECも運営している場合は、実店舗とネットショップの在庫や注文情報を連携できるものを選ぶと、マルチチャネルでの販売管理を進めやすくなり、手間を減らせます。
3. 外部ツールや既存システムとの連携性を確認する
すでに会計ソフトや予約システム、ECサイト、顧客管理ツールなどを利用している場合は、それらと連携できるかを確認しておきましょう。連携できないシステムを選ぶと、二重入力や確認作業が増え、かえって運用が複雑になります。
また、既存ツールで十分に補えている業務まで無理にまとめる必要はありません。どこを新しいシステムで管理し、どこは既存ツールを使い続けるのかを整理しておくと、導入後のミスマッチを防ぎやすくなります。
導入前に、どのツールと連携できるのか、追加費用や設定作業が必要かも見ておくと安心です。
4. セキュリティ対策が十分かを確認する
店舗管理システムでは、売上情報や顧客情報、取引情報などの機密データを扱うため、セキュリティ対策が十分かを確認しておくことが大切です。たとえば、スタッフごとに閲覧できる情報や操作できる範囲を分けられると、必要のない情報へのアクセスを防ぎやすくなります。
あわせて、複数人で利用する場合や会員情報を扱う場合は、ログイン管理やデータ保護の仕組み、障害時の対応方針なども確認しておくと安心です。
5. 現場で使いやすく、定着しそうか試す
店舗管理システムは、導入できるかどうかだけでなく、現場で使い続けやすいかも重要です。画面が見やすいか、操作がわかりやすいか、スタッフが使いこなしやすいかを確認しましょう。機能が充実していても、会計や在庫確認に手間がかかると、現場で定着しにくくなります。無料トライアルやデモがある場合は、実際に試して、使い心地をチェックしましょう。
6. 総コストを確認する
店舗管理システムを選択・比較する際は、総費用を確認するようにしましょう。店舗管理システムの料金には、初期費用、月額料金、オプション料金などがあり、店舗数や利用人数の増加に応じて費用が変わる場合もあります。また、決済ごとに決済手数料がかかるサービスもあります。
料金が低く見えても、必要な機能を追加すると費用が上がることもあります。予算だけでなく、必要な機能がその料金に含まれているかもあわせて確認しましょう。
7. サポート体制や安定性を確認する
導入後に安心して使い続けるためには、サポート体制も重要です。
店舗管理システムは、日々の会計や在庫管理を支える仕組みなので、システム停止や不具合が長引くと、現場の業務に大きく影響することがあります。障害時の対応方針や問い合わせ方法がわかりやすいか、安定して運用しやすいサービスかどうかもあわせて確認しておきましょう。はじめて店舗管理システムを導入する場合や、複数スタッフで運用する場合は、サポートが手厚いほうがスムーズです。
導入時の設定支援があるか、トラブル時に問い合わせしやすいか、ヘルプページが充実しているかなどを見ておくと安心です。
おすすめの店舗管理システム11選
- Shopify POS
- Square POSレジ
- スマレジ
- Airレジ
- STORESレジ
- 店舗matic
- Shopらん
- StoreFIND
- Canly
- Gyro-n MEO
- Location Connect
1. Shopify POS
Shopify POS(ショッピファイポス)は、Shopifyの管理画面と連携して、オンラインストアと実店舗の注文や在庫をまとめて管理できるサービスです。商品・在庫・注文の情報が自動で同期されるため、ECと店舗を別々の仕組みで管理する手間を減らせます。
対面販売をしながらオンラインショップと在庫を同期できるほか、機能追加ができるアドオンのPOS Proではスタッフの無制限登録や、オンライン注文の店舗受取サービスなどの高度な機能も利用できます。カードリーダーやバーコードスキャナーなどの対応ハードウェアも用意されています。すでにShopifyでECサイトを運営している場合は、管理画面を分けずに実店舗販売まで広げられるのが大きな魅力です。
料金:Shopifyの利用料と月額料金。POS Proは月額13,000円
2. Square POSレジ
Square POS(スクエアポス)レジは、売上管理、在庫管理、顧客管理、スタッフ管理などをまとめて使いやすい小売向けPOSです。オムニチャネルにも対応しているので、ECサイトと店舗販売をまたいで運用を広げたい場合に効果的なサービスです。
料金プランはフリー、プラス、プレミアムの3段階が用意されており、無料から始めて必要に応じて機能を拡張できる構成になっています。月額費用を抑えながら使い始めたい店舗に適しています。
料金:フリープランあり。プラスは店舗ごとに月額6,000円、プレミアムは要問い合わせ
3. スマレジ
スマレジは、在庫管理や棚卸、受注管理、外部システム連携までを視野に入れて店舗運営を整えたい場合に活用できるサービスです。
無料のスタンダードプランで使用できるのはレジ機能のみですが、リテールビジネスプランでは、アパレルなどで欠かせない高度な在庫管理、顧客データ、ポイント管理機能、外部システム連携などが利用できます。商品点数が多い店舗で、在庫管理や棚卸、外部連携までしっかり整えたい場合に向いています。
なお、スマレジECと連携すると、ECと実店舗を横断した管理・分析ができるようになります。
料金:リテールビジネスプランは1店舗につき月額15,400円
4. Airレジ
Air(エア)レジは、初期費用や月額費用を抑えて、基本的なレジ機能が使えるPOSシステムです。iPadさえあれば0円で使用が可能です。周辺機器の購入や、モバイルオーダーのサービスの導入には費用がかかります。まずはレジ機能を導入して運用を整えたい場合や、できるだけ初期負担を抑えて始めたい場合に候補に挙がるサービスです。
料金:基本利用料0円
5. STORESレジ
STORES(ストアーズ)レジは、実店舗のレジ機能に加えて、ネットショップとのデータ連携を重視したい場合に相性のよいPOSレジです。店舗でのレジ利用だけでなく、ネットショップとの商品・在庫自動連携や売上分析が可能です。POSレジとネットショップの在庫連携はスタンダードプランで対応でき、バーコードスキャンによる商品読み取りも可能です。
すでにSTORESネットショップを利用している場合は、商品や在庫、売上の流れをまとめて確認しやすくなるのが魅力です。
料金:フリープランは無料、ベーシックプランは店舗ごとに月額3,300円
6. 店舗matic
店舗matic(マティック)は、本部と店舗の連携を効率化するクラウド型コミュニケーションツールです。本部からの連絡や作業指示を店舗側で整理して確認できるほか、作業進捗の把握や報告の集約にも対応しており、多店舗運営におけるコミュニケーションロスを減らせるのが特徴です。
店内のタスク管理や店舗オペレーションの見える化にもつなげやすいため、チェーン展開をしている企業では、売場づくりや販促施策の実行管理にも活用できます。複数店舗の情報共有やオペレーション改善を進めたい事業者に向いています。
料金:要問い合わせ
7. Shopらん
Shop(ショップ)らんは、流通・小売業の多店舗チェーン運営を支援するクラウドサービスです。本部から店舗への連絡や指示の共有だけでなく、店舗からの報告、売場づくりの情報共有、ナレッジ共有などをまとめて行いやすいのが特徴です。
Google Workspace(グーグルワークスペース)との連携機能や、現場の状況を即座に報告できる「売場ノート」機能など、複数店舗での情報伝達やオペレーションが管理しやすくなるツールが備わっています。多店舗展開している小売業で、本部と店舗の情報共有やオペレーション管理を強化したい事業者に向いています。
料金:要問い合わせ
8. StoreFIND
StoreFIND(ストアファインド)は、多店舗運営における本部と店舗の情報共有を支援するツールです。本部からの連絡、店舗からの問い合わせ、店舗間コミュニケーション、やること管理、アンケート、集計フォームなどに対応しており、日々のオペレーションを整理したいときに役立ちます。
電話やメール、チャットなど、連絡窓口が分散しがちな現場でも連絡や報告の導線をまとめられるため、本部と複数店舗間での共有が簡単になります。内部でのオペレーションを整理したい場合に適したサービスです。
料金:要問い合わせ
9. Canly
Canly(カンリー)は、Googleビジネスプロフィール、ホームページ、SNSなどに掲載する店舗情報や口コミを一括管理する店舗管理サービスで、国内外130,000店舗で導入されています。複数の店舗情報を簡単に追加・更新・変更できるほか、口コミをまとめて閲覧し返信できるのも特徴です。
ECと実店舗をあわせて運営しているブランドの場合、来店前の情報収集や検索導線を整え、オンライン経由で店舗送客を強化するのに役立てることができるでしょう。店舗情報の一元管理や来店前の接点づくりを強化したい事業者に向いています。
料金:要問い合わせ
10. Gyro-n MEO
Gyro-n MEOは、Googleビジネスプロフィールの管理から投稿、口コミ対応、順位計測、分析までまとめて実施できるMEOツール(地図エンジン最適化支援ツール)です。複数店舗への一括投稿やインサイトの拡張レポートなどにも対応しており、店舗情報の更新だけでなく、検索で見つけてもらいやすくする運用まで進めやすいのが特徴です。来店前の検索接点や地図検索での露出を整え、店舗送客やローカル集客を強化したい事業者に適しています。
料金:要問い合わせ
11. Location Connect
LOCATION CONNECT(ロケーションコネクト) は、Googleビジネスプロフィールと連携し、多店舗の情報更新、口コミ返信、検索順位分析を一括管理できる店舗集客支援サービスです。店舗情報の一括更新や改ざん自動修正、口コミ管理、検索順位の分析までまとめて行えるため、複数店舗を運営している企業でも運用を整理しやすくなります。
Yahoo!プレイスとの公式連携も案内されており、Google検索や地図サービスを通じた来店導線を整えたい場合にも活用しやすいでしょう。オンラインストアと実店舗の両方を運営しているブランドの場合、オンライン経由の店舗送客を強化するのに役立つツールです。
料金:個別見積もり形式のため要問い合わせ
まとめ
店舗管理システムには、POSレジ、受発注システム、多店舗業務支援システム、店舗情報管理ツールなど、さまざまな種類があります。大切なのは種類だけで選ぶのではなく、自社の課題に合う機能がそろっているかを見ながら選ぶことです。
まずは、会計や在庫管理を整えたいのか、複数店舗の運営を進めたいのか、ECとの連携を強化したいのかといった目的を明確にすることから始めましょう。店舗管理システムに期待する成果が明確になることで自社ブランドの運営に合ったシステムが選びやすくなり、業務改善や業務効率化、生産性向上につながりやすくなります。
今回の記事を参考に、自社の目的と予算に合った最適なシステムを探してみましょう。
店舗管理システムに関するよくある質問
店舗管理システムとPOSシステムの違いは?
店舗管理システムは、会計や売上管理を担うPOSシステムよりも広い概念で、POSシステムもその一部に含まれます。
POSシステムは、商品が「いつ・どこで・いくつ・いくらで売れたか」といった販売情報を記録し、会計や売上管理を行う仕組みです。一方、店舗管理システムは、POS機能に加えて、在庫管理、顧客管理、受発注、多店舗運営、本部と店舗の情報共有なども含めて、店舗全体の運営を支える仕組みを指す言葉として使われます。
店舗管理システムは小規模店舗でも必要ですか?
小規模店舗でも、会計、在庫、顧客情報の管理を効率化したい場合に役立ちます。特に、表計算ソフトや手作業での管理に手間を感じている場合や、今後ネットショップや複数店舗展開を考えている場合は、早めに導入しておくと運営を整理しやすくなります。
店舗管理システムを選ぶときのポイントは?
- 導入の目的と必要な機能を明確にする
- 店舗数や販売チャネルに合うものを選ぶ
- 外部ツールや既存システムとの連携性を確認する
- セキュリティ対策が十分かを確認する
- 現場で使いやすく、定着しそうか試す
- コストが見合っているか確認する
- サポート体制や安定性を確認する
文:Taeko Adachi





