BtoB(B2B)マーケットプレイスは、企業向けの商品やサービスを扱う買い手と売り手をつなぐオンラインの取引サービスです。多くのバイヤーが利用しているため、自社単独では難しい新規顧客の開拓や新たな販路を拡大する方法として活用されています。
この記事では、EC事業者が活用しやすいBtoB向けサービスを広く取り上げ、それぞれの役割の違いを整理して紹介します。

BtoBマーケットプレイスとは
BtoBマーケットプレイスとは、企業間で商品やサービスを取引できるオンラインサービスです。バイヤーはオフィス用品や設備、製造に必要な資材、再販用の商品などを探し、複数の出品者を比較しながら仕入れ先を選べます。
BtoBとBtoCの違いは、購買の進め方にあります。BtoCが個人の判断で即購入できるのに対し、BtoBでは複数の担当者が費用対効果や信頼性を検討したうえで発注します。そのため、BtoBマーケットプレイスは企業間取引の商習慣に合わせた設計になっているのが特徴です。
また、BtoBマーケットプレイスには、幅広いカテゴリを扱う総合型と、特定の業界に特化した専門型があります。総合型は複数の商品をまとめて調達しやすく、専門型は業界特有の仕様や条件に合う商品を探しやすいという特徴があります。
なお、BtoBマーケットプレイスには、既存の場に出品して販路を広げるサービスだけでなく、最適な仕入れ先を探すためのサービスや、自社でマーケットプレイスを構築するためのプラットフォームもあります。
オンライン販売に適したBtoBマーケットプレイス10選
1. goooods
goooodsは、全国のこだわり商品を仕入れたい事業者向けのBtoBマーケットプレイスです。食品、美容、日用品など幅広いカテゴリを扱っており、国内外3,000以上のブランドから商品を探せる点が特徴です。ストーリー性のある商材が豊富なため、雑貨店やカフェ、サロンなどで他店と差別化を図りたい場合に適しています。
利点:サンプルで実物を確認したうえで仕入れを進められ、商品の素材や産地、作り手などの背景情報も参考にしながら選べます。1点から小ロットで仕入れられるため、小規模店舗でも導入しやすいサービスです。
留意点:発送はgoooodsではなく、各ブランドが行います。また、卸価格は承認されたアカウントでログインしないと確認できません。オンライン販売の可否もブランドや商品ごとに異なるため、仕入れ前に各商品ページで条件を確認する必要があります。
料金:バイヤーの参加費用、商品の買い付け手数料は無料です。送料はブランドごとに異なります。
2. Mirakl
Miraklは、自社でマーケットプレイスを構築したい企業向けのプラットフォームです。既存のECサイトに外部セラーが出店できる機能を追加し、取扱商品を拡充したい企業に向いています。
利点:自社で在庫を持たずに外部セラーの商品を掲載できるため、自社サイト内の品ぞろえを広げやすいメリットがあります。
留意点:既存のマーケットプレイスに出店するサービスではないため、導入後はセラー審査や掲載ルールの設計、取引条件の管理などを自社で行う必要があります。
料金:公式サイトでは公開されておらず、個別見積もりです。
3. Amazon Business
Amazon Businessは、法人や個人事業主向けのマーケットプレイスです。備品や消耗品など、日常的な購買需要が高い商品を扱う事業者にも適しています。
利点:法人価格や数量割引など、事業者向けの購買機能が充実している点です。再販向けの卸売だけでなく、企業による日常的な購買需要にも対応しやすい強みがあります。
留意点:出品者が多いため、カテゴリによっては価格競争になりやすく、差別化が難しい場合があります。また、出品ルールや販売手数料、カテゴリごとの制限も事前に確認が必要です。
料金:大口出品は月額4,900円(税抜)です。このほか、商品カテゴリごとの販売手数料がかかります。
4. Alibaba
Alibaba(アリババ)は、中国のAlibaba Groupが運営する世界最大級のBtoBマーケットプレイスです。世界中のサプライヤーとバイヤーが利用しています。大量ロットでの仕入れやOEM(自社ブランド製造)、ODM(設計からの委託)にも対応しやすいのが特徴です。
利点:海外の小売業者や事業者に向けて商品を販売しやすい点です。グローバルな買い手にアプローチしやすく、多言語対応の機能もあるため、海外販路を拡大したい企業に向いています。
留意点:出品者が多く、類似品も多いため、価格競争になりやすい傾向があります。加えて、海外取引では輸送日数が長くなる場合もあるため、納期や条件の確認が欠かせません。
料金:買い手の会員登録は無料です。一方、売り手向けには有料プランがありますが、金額は公式サイトでは公開されていません。
5. スーパーデリバリー
スーパーデリバリーは、日本のメーカーや卸業者の商品を仕入れられるBtoBマーケットプレイスです。ファッションや生活雑貨のほか、食品、家具、什器・店舗資材なども扱っており、国内商材を仕入れたい事業者向けのサービスとして利用されています。
利点:国内メーカーや問屋の商品を仕入れやすく、取引の流れも比較的スムーズです。掲載商品の75%以上は1点から注文でき、最低注文金額の設定もないため、小ロットで仕入れたい場合も手軽に利用できます。
留意点:出展企業ごとに取引条件や価格、販売ルールが異なるため、仕入れ前に個別の条件を確認する必要があります。また、事業者専用サービスのため、利用時には登録情報をもとに入会審査があります。
料金:フリープランは月額0円、スタンダードプランは月額2,200円(税込)です。
6. NETSEA
NETSEAは、メーカーや問屋、卸会社の商品を比較しながら仕入れ先を探せるBtoBマーケットプレイスです。商品数が多く、サプライヤーごとの価格や取引条件を見比べやすいため、国内向けの仕入れ先をまとめて探したい小売店やEC事業者に使いやすいサービスです。
利点:価格交渉やクーポンなどが活用できるため、仕入れ条件を調整しやすい面があります。複数の決済方法に対応しており、取引条件に合わせて発注を進められる点もメリットです。
留意点:出品者ごとに取引条件や価格、決済方法などが異なるため、発注前に条件を確認する必要があります。また、会員登録後には入会審査があり、審査結果によっては一部機能に制限がかかる場合があります。
料金:バイヤーの会員登録は無料で、入会金や月会費はかかりません。
7. orosy
orosyは、こだわりのあるブランドや、ECモールでは流通していない商品を仕入れられるBtoBマーケットプレイスです。小売店舗やEC運営者と、個性豊かなブランドをつなぐ卸・仕入れサービスとして活用されています。
利点:一般的な卸サイトとは少し違い、話題性のある商品や個性のあるブランド商品を扱っている点です。品ぞろえに個性を出したい場合に向いています。
留意点:ブランド性や独自性のある商材が多いため、扱う商品の傾向が自社の客層や販売方針に合致するかを事前によく検討する必要があります。
料金:バイヤーの利用は無料です。
8. TopSeller
TopSellerは、楽天市場やYahoo!ショッピングなどに対応した、ネットショップ運営者向けの仕入れサービスです。約30万点の商品を扱っており、CSVによる商品登録や受注データの連携が可能です。梱包や購入者への配送はTopSeller側が行うため、在庫を持たずに商品ラインナップを拡充したい場合に使いやすいのが特徴です。
利点:商品点数を増やしやすく、ショップへの流入や購入機会の拡大につなげやすい点です。新たな仕入れ先を個別に開拓しなくても商品ラインナップを広げられるため、少ない運用負担で品ぞろえを強化しやすくなります。
留意点:導入前に、利用するモール側でCSV経由の商品登録サービスへの申込みが必要な場合があります。
料金:初期費用は無料です。料金は、永年0円のプランから月額27,800円のプランまで用意されています。TopSellerからストアに請求される送料は原則1出荷690円(税抜)です。
9. Made-in-China
Made-in-Chinaは、中国のサプライヤーやメーカーを探せるBtoBマーケットプレイスです。機械、電子機器、繊維製品など27の主要カテゴリーを扱っており、幅広い商材から仕入れ先を探せる点が特徴です。
利点:第三者機関による監査情報を確認しながら、中国のメーカーや卸業者を探しやすい点です。問い合わせや見積もり取得、チャットなどの機能もあり、候補を比較しながら商談を進めやすくなっています。
留意点:海外取引が前提となるため、品質や納期、輸送条件は事前に確認する必要があります。第三者機関から認証を受けたサプライヤーでも、条件や品質には差があるため、本格的に発注する前にサンプルを取り寄せ、実物を確認しましょう。
料金:バイヤー向けの基本利用は無料です。
10. DHgate
DHgateは、中国発の越境マーケットプレイスです。小ロットで発注できる商品も多く、海外からの商品調達を始めたい事業者にとって使いやすいサービスです。
利点:少量から発注できる商品が多く、初めて海外仕入れを行う場合でも試しやすい点です。幅広いカテゴリの商品を扱っているほか、モバイルアプリも用意されており、移動中でも商品検索や購入を進めやすくなっています。
留意点:表示価格と最終的な請求額に差が出る場合もあるため、送料や配送条件を含めた合計金額を事前に確認したほうが安全です。
料金:商品価格とは別に送料がかかりますが、基本的な利用は無料です。

BtoBマーケットプレイスで販売する5つの利点
1. 取引先からの信頼を高めやすい
BtoBマーケットプレイスに出品すると、新しい取引先から信頼してもらいやすくなります。BtoBの取引は、個人向けの買い物とは判断の仕方が違います。担当者は「支払った金額に見合う成果が得られるか」を慎重に見極めたうえで取引先を選ぶためです。
知名度のあるBtoBマーケットプレイスには、長年の運営実績によって蓄積された信頼があります。そのため、出品者のことをまだよく知らないバイヤーでも、「このプラットフォーム上での取引なら安心できそうだ」と判断しやすくなります。結果として、自社サイトだけで新規開拓を行う場合よりも、問い合わせや発注につながりやすくなります。
2. 取引先の発注方法になじみやすい
BtoBマーケットプレイスは、取引先がすでに使い慣れている発注の仕組みに沿って商品を販売できます。Digital Commerce 360の調査(英語)によると、BtoBの購買担当者の59%が、仕入れの4分の1以上をオンラインマーケットプレイスで行っているというデータもあります。この結果から、多くのバイヤーにとってマーケットプレイスでの発注は、すでに日常的な業務の一部になっていることがわかります。
自社で新しい取引先を一から開拓する代わりに、バイヤーが普段から商品を探している場所に在庫を掲載すれば、相手にとって馴染みのある流れで発注してもらいやすくなるでしょう。
3. 新規市場へ販路を広げやすい
BtoBマーケットプレイスを活用すると、自社単独ではリーチが難しい取引先にも商品を見つけてもらいやすくなります。Amazon BusinessやAlibabaといったサービスに出品することで、運営側が積み上げてきた販路や実績、取引先とのつながりをそのまま活用できます。
海外バイヤーの目に留まる可能性も高まるため、新しい市場へのアプローチがしやすくなるでしょう。
4. 新商品を検証しやすい
BtoBマーケットプレイスには、新商品がBtoB市場でどの程度受け入れられるかを、手軽に試せるメリットがあります。
まずは出品して反応を見ることで、どのような業種や規模の取引先が関心を持ちやすいかという具体的なターゲット層が見えてきます。すぐに注文が入るようであれば、本格的に販売へ投資する価値があると判断できます。また、設定した価格帯やロット数の受け入れられやすさを検証しながら進められる点も、大きな利点といえます。
5. コストや負担を抑えやすい
BtoBマーケットプレイスを活用すれば、受注まわりの業務やコストの負担を減らせます。多くのBtoBマーケットプレイスは、配送の手配や決済の処理、返品対応といった業務を代わりに担う機能を備えています。
こうした仕組みを利用することで、自社で一から体制を整える必要がなくなり、運用コストや手間を抑えやすくなります。空いた時間は、取引先との関係づくりなど、より価値を生む業務に回せるのもメリットです。

BtoBマーケットプレイスの3つのデメリット
1. 手数料が利益を圧迫しやすい
BtoBマーケットプレイスでは、出品や取引のたびに手数料が発生し、利益を押し下げる要因になります。マーケットプレイスは受注や決済などの業務を代わりに担ってくれますが、その対価として手数料がかかる仕組みです。たとえば決済処理の手数料、検索結果で上位に表示するための広告費用、取引成立ごとの成約手数料などが挙げられます。
BtoBの取引はもともと利益率がシビアなケースが多く、こうした手数料が積み重なると、想定より利益が残りにくくなることがあります。出店前に費用の内訳を確認し、自社の利益率と照らし合わせて採算が合うかどうかを見極めておくことが大切です。
2. 出店ルールや制約がある
BtoBマーケットプレイスでは、プラットフォームごとに定められたルールに従って販売する必要があります。扱える商品の種類から、受け入れられる支払い条件、返品対応の方法まで、ルールの範囲はさまざまです。自社では問題なく販売している商品でも、プラットフォームの基準に合わず掲載できないこともあります。
さらに、ルールに違反するとアカウントが停止される可能性もあるため、出店前に規約を確認する必要があります。
3. 顧客との関係を築きにくい
BtoBマーケットプレイスでは、取引先と深い関係を築きにくいという制約があります。売り手が取引先を自社サイトへ誘導することは規約で禁止されていることも多く、購入履歴や顧客情報へのアクセスも限られています。価格交渉の条件もプラットフォームのルールが優先されるため、自社の判断だけで柔軟に対応することが難しい場面もあります。
BtoBビジネスでは、取引先との長期的な信頼関係が収益の土台になることが多いため、マーケットプレイスだけに頼るのではなく、自社のBtoB ECや営業活動と組み合わせて運営することも視野に入れましょう。

BtoBマーケットプレイスで成功する方法
リアルタイム在庫管理を使う
BtoBマーケットプレイスで安定した取引を続けるには、リアルタイムで在庫を把握できる仕組みが欠かせません。在庫の更新が遅れると、発注後の欠品や納期調整が発生し、取引先の信頼を損ねるおそれがあります。BtoBとBtoCを並行して販売している場合は、両方の在庫を分けて管理する手間もかかります。
ShopifyのBtoB機能なら、複数の販売チャネルを一つの画面で運用でき、在庫を一元管理しやすくなります。ERP(在庫や受注を一括管理する基幹システム)と連携すれば、販売データの分析もあわせて活用できます。
PIMを導入する
BtoBマーケットプレイスで正確な商品情報を維持するには、PIM(商品情報管理システム)の活用が効果的です。BtoBの取引先は、一般消費者以上に詳しい情報を求める傾向があります。仕様やロット、納期、価格条件などがわかりにくいと、比較の段階で候補から外されることもあるでしょう。
そこで役立つのがPIMです。PIMを活用すれば、SKU(商品管理番号)や商品名、画像、説明に加え、卸売価格や最低注文金額まで一元管理できます。BulkFlowなどのアプリはShopifyと連携しており、商品情報をCSVやGoogleスプレッドシートで一括管理・更新できます。
フルフィルメントは外部委託も検討する
BtoBの受注対応は、自社だけで抱え込まず、外部への委託も検討する価値があります。フルフィルメントとは、受注後の保管や出荷、配送にかかわる業務のことです。BtoB取引では一度の発注量が大きく、100個以上の出荷も珍しくありません。
そこで活用したいのが3PL(外部物流サービス)です。日本語で使えるShopify連携サービスには、受注から出荷までの業務を自動化できるOPENLOGIなどがあります。自社の出荷量や商材、納品先に合わせて、こうした外部サービスの利用も検討するとよいでしょう。
まとめ
BtoBマーケットプレイスは、新しい取引先との接点を作りやすく、販路の拡大やテスト販売にも活用できる便利な仕組みです。一方で、手数料や出店ルール、顧客との関係構築の制約といったデメリットもあるため、自社の商材や販売方法に合ったサービスを選ぶことが大切です。出品後は、在庫管理や商品情報の整備、物流体制の見直しなど、運用面の工夫を重ねることで成果につながりやすくなります。
マーケットプレイスの特性を理解したうえで、BtoBマーケティング戦略の一環として、自社のBtoB ECや営業活動とあわせて活用していきましょう。
BtoBマーケットプレイスに関するよくある質問
BtoBマーケットプレイスとBtoB ECサイトの違いは?
BtoBマーケットプレイスは、複数の企業が出品し、売り手と買い手が集まるオンラインの取引の場です。一つのプラットフォーム上で複数の出品者を比較できるため、新しい取引先を見つけやすい特徴があります。
一方でBtoB ECサイトは、自社が運営する企業向けのECサイトです。自社の商品だけを掲載し、価格や取引条件、顧客対応を自社で管理できるのが特徴です。
BtoB向けのECサイト構築に役立つサービスは?
代表的なBtoB向けのECサイト構築サービスには、主に以下のものがあります。
- Shopify
- アラジンEC
- Bカート
- EBISUMART
- EC-CUBE B2B
BtoBマーケットプレイスの選び方は?
以下のポイントを基準に、最適なプラットフォームを選定することが大切です。
- 自社の顧客層や商材に合ったサービスか確認する
- 手数料の内訳と自社の利益率が見合うか試算する
- 自社の商材や販売方法が出品ルールに合うか確認する
- 既存のシステムと連携できるか調べる
- 国内向けか海外向けか、販路の目的に合ったサービスを選ぶ
文:Yukihiro Kawata





