はじめに
「ECサイトの制作を外部に依頼したいが、どの制作会社を選べばよいかわからない」
「料金相場が会社によって大きく違い、見積もりを比較する基準がない」
「制作会社に何を伝えれば適切な提案が返ってくるのか整理できていない」
ECサイトの新規構築やリニューアルを検討する担当者から、よく聞く悩みです。
ECサイトの制作会社選びは、初期費用だけでは決められません。
事業規模に合うか、運用フェーズで伴走してくれるか、自社のシステム構成や運用体制と相性が良いか――こうした要素を総合的に判断する必要があります。
制作会社選びを誤ると、構築後に思った機能が使えない、運用保守費が想定より高くつく、数年後にリプレイスを強いられる、といった事態に直結します。
逆に、相性の良い制作会社と組めれば、構築後の事業成長まで安定して支援を受けられます。
本記事では、ECサイト制作会社の選び方を「料金相場」「会社のタイプと特徴」「依頼の流れ」の観点で解説します。
ECサイト制作会社の選定で押さえるべき5つの判断軸、会社のタイプ別の特徴、料金相場、依頼前の社内準備、見積もり比較のポイント、失敗パターン、依頼から公開までの流れまでまとめています。
目次
-
ECサイト制作会社とは
-
ECサイト制作会社を選ぶときの5つの判断軸
-
ECサイト制作会社のタイプ別の特徴
-
ECサイト制作の料金相場
-
ECサイト制作会社に依頼する流れ
-
見積もり依頼前に整理すべき社内準備
-
複数の制作会社から見積もりを取るときのポイント
-
ECサイト制作会社選びで陥りがちな失敗パターン
-
制作会社に依頼するか自社構築するかの判断軸
-
Shopifyの認定パートナー制度について
-
まとめ
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ECサイト制作会社とは
ECサイト制作会社とは、企業や個人事業主のECサイト(インターネット上で商品を販売するWebサイト)の企画・設計・構築・デザイン・運用支援を提供する事業者のことです。
EC 制作会社、ECサイト 作成 業者、EC 構築 会社など、呼び方はさまざまですが、いずれも同じ役割を指しています。
ECサイト制作会社が提供する主なサービス
ECサイト制作会社が提供するサービスは、案件の規模や契約形態によって幅があります。
代表的なものを解説します。
-
戦略・要件定義:事業目標・ターゲット顧客・必要機能の整理、競合分析
-
設計:サイトマップ・画面遷移・機能仕様・データベース設計
-
デザイン:UI/UXデザイン、ブランドガイドラインに沿ったビジュアル制作
-
構築・開発:プラットフォームの選定・実装、独自機能の開発
-
コンテンツ制作:商品写真撮影、商品説明文の作成、ブランドストーリー制作
-
運用・保守:公開後のサイト更新、不具合対応、機能追加
-
マーケティング支援:SEO対策、広告運用、SNS連携、CRM設計
すべてを1社で完結する制作会社もあれば、構築のみ・運用のみといった専門特化型もあります。
ECサイト制作会社と関連サービスの違い
「制作会社」「Web制作会社」「ECコンサル」など、似た呼称が並びますが、得意領域は微妙に異なります。
|
種別 |
主な役割 |
強み |
|---|---|---|
|
ECサイト制作会社 |
EC構築・運用に特化 |
EC特有の機能・運用ノウハウ |
|
Web制作会社 |
Webサイト全般 |
コーポレートサイト含めた制作力 |
|
ECコンサル |
戦略・施策の助言 |
売上向上の施策設計 |
|
システムインテグレーター |
大規模システム開発 |
基幹システム連携・カスタム開発 |
ECに本格的に注力したい場合は、EC特化の制作会社か、ECの実績豊富なWeb制作会社が選択肢になります。
ECサイト制作会社を選ぶときの5つの判断軸
ECサイト制作会社を比較するときは、価格表面だけでなく以下の5つの軸を多角的に確認することが重要です。
最初にこの判断軸を持っておくと、提案内容や見積もりを比べる効率が大きく変わります。
軸1:事業規模・取扱商材との相性
ECサイト制作会社には、得意な事業規模・業種があります。
月商100万円未満の小規模ECに強い会社と、月商1億円以上のエンタープライズECに強い会社では、提案内容も価格帯も大きく異なります。
-
小規模EC(月商100万円未満):ASP・SaaS型に強い制作会社が向く
-
中規模EC(月商100〜1,000万円):ASP・SaaS型〜中規模パッケージに対応する制作会社
-
中〜大規模EC(月商1,000万〜1億円):Shopify Plus、futureshop、ecbeingなどに実績がある制作会社
-
大規模EC(月商1億円以上):大規模パッケージ・カスタム開発の実績がある制作会社
業種についても、アパレル・食品・コスメ・BtoB・越境ECなど、それぞれ求められる機能やノウハウが異なります。
自社の業種で実績がある制作会社の方が、設計品質・運用ノウハウ・改善提案の精度が高くなる傾向があります。
軸2:使用するECプラットフォームと技術スタック
ECサイト制作会社は、それぞれ得意とするプラットフォームを持っています。
-
ASP・SaaS型に強い:Shopify、MakeShop、futureshop、カラーミーショップなど
-
オープンソース型に強い:EC-CUBE、WooCommerce、Magento(Adobe Commerce)など
-
パッケージ型に強い:ecbeing、ebisumart、Orange ECなど
-
フルスクラッチ型に対応:要件に合わせて独自開発
「特定のプラットフォームしか扱わない」会社と「複数プラットフォームを提案できる」会社があります。
提案の客観性を重視する場合は、複数プラットフォームの選択肢を提示できる制作会社の方が、事業要件に沿った中立的な提案を受けやすくなります。
軸3:実績・ポートフォリオの厚み
制作会社の実績は、複数の観点から確認することが推奨されます。
-
構築実績の本数:累計何件のECサイトを構築したか
-
業種別の実績:自社と同じ業種・業態の実績があるか
-
規模別の実績:自社と近い事業規模・売上規模の案件を扱っているか
-
継続支援している顧客の比率:構築後も継続して運用支援している顧客がどの程度いるか
-
公開実績の質:実際に稼働しているECサイトのURLを共有してくれるか
「過去の実績数は多いが、自社の業種・規模に近い案件はない」というケースもあります。
実績の「量」だけでなく「質」と「自社との近さ」を見ることが重要です。
軸4:運用フェーズでの伴走力
ECサイトは公開して終わりではなく、運用フェーズでこそ事業成長が決まります。
制作会社が運用フェーズでどこまで伴走してくれるかは、選定時に確認しておきたいポイントです。
-
保守契約の内容:月額料金、対応範囲、レスポンス時間
-
改善提案の頻度:定例ミーティングの有無、データ分析レポートの提供
-
追加開発の対応力:機能追加・キャンペーンページ制作などの依頼への対応速度
-
マーケティング支援:SEO・広告・CRMといった集客面の支援
構築のみで終わってしまう制作会社か、運用フェーズも含めて中長期で伴走してくれる制作会社か。
この違いは、契約後3〜5年の事業成果に大きく影響します。
軸5:コミュニケーション・体制の相性
最後に、見落とされがちですが極めて重要なのが、コミュニケーションと体制の相性です。
-
担当者の経験値:プロジェクトマネージャー、デザイナー、エンジニアの経験
-
チーム体制:何名のメンバーがどんな役割で関わるか
-
報告・連絡の頻度と方法:週次定例、Slackや専用ツールでの連絡
-
意思決定のスピード:仕様変更や追加要望への対応スピード
-
自社の社内体制との相性:ITリテラシー、開発リソース、判断スピード
提案書の内容だけでなく、初回打ち合わせでの担当者の質問内容・提案の深さ・レスポンスの早さなどから、コミュニケーションの相性を見極めることが推奨されます。
ECサイト制作会社のタイプ別の特徴
ECサイト制作会社は、提供範囲や得意領域によっていくつかのタイプに分類できます。
タイプごとの特徴を理解しておくと、自社に合う候補を絞り込みやすくなります。
タイプ1:ECプラットフォーム特化型の制作会社
特定のECプラットフォーム(Shopify、futureshop、ecbeingなど)に特化して、構築・運用支援を提供する制作会社です。
-
強み:特定プラットフォームの深い知見、独自テンプレートや独自アプリ、構築スピード
-
向いている企業:使用したいプラットフォームが決まっている、専門的なカスタマイズが必要
-
注意点:他プラットフォームとの比較検討は受けにくい
例えば、Shopify認定パートナーやShopify Plusパートナーは、Shopifyの公式パートナー認定を受けた制作会社で、Shopify構築の専門知見を持っています。
タイプ2:マルチプラットフォーム対応の制作会社
複数のECプラットフォームを扱い、事業要件に応じて最適な選択肢を提案する制作会社です。
-
強み:客観的なプラットフォーム選定の提案、複数プラットフォームの横比較
-
向いている企業:プラットフォーム選定自体から相談したい、複数の選択肢を比較したい
-
注意点:特定プラットフォームの深い専門性では、特化型に一歩劣る場合がある
タイプ3:戦略・コンサルティング型の制作会社
EC事業の戦略立案・要件定義・KPI設計といった上流工程から伴走する制作会社です。
-
強み:事業戦略との接続、データ分析、施策の優先順位付け
-
向いている企業:EC事業の方向性から相談したい、既存EC事業の改善を本格化したい
-
注意点:制作費用に加えてコンサルフィーが発生することが多い
タイプ4:制作・開発実装特化型の制作会社
要件定義済みのプロジェクトに対して、デザイン・構築・開発を実装する制作会社です。
-
強み:実装スピード、開発スキル、コスト効率
-
向いている企業:要件定義は社内で完了している、シンプルに「作る」ことを依頼したい
-
注意点:戦略相談・運用支援は別契約またはスコープ外
タイプ5:運用・グロース支援特化型の制作会社
既存ECサイトの運用代行・改善・グロース支援に特化した制作会社です。
-
強み:運用フェーズのノウハウ、データドリブンな改善、施策実装力
-
向いている企業:構築は完了しており、運用フェーズで本格的な改善をしたい
-
注意点:新規構築は別の会社が必要
ひとつの制作会社が複数タイプの機能を併せ持つこともあります。
自社のフェーズ(新規構築/リニューアル/運用改善)に合わせてタイプを絞り込むのが効率的です。
ECサイト制作の料金相場
ECサイト制作の費用は、構築タイプ・規模・カスタマイズ量によって大きく変動します。
一般的な相場感を整理します。
構築タイプ別の費用相場
|
構築タイプ |
初期費用相場 |
月額・運用費用 |
構築期間 |
|---|---|---|---|
|
ASP・SaaS型 |
30〜100万円 |
月数千円〜数万円 |
1〜2ヶ月 |
|
オープンソース型 |
100〜300万円 |
月3〜15万円 |
2〜4ヶ月 |
|
パッケージ型 |
300〜1,500万円 |
月10〜50万円 |
4〜8ヶ月 |
|
フルスクラッチ型 |
1,500万円〜 |
月50万円〜 |
6〜18ヶ月以上 |
ASP・SaaS型の費用は、プラットフォーム利用料は安価ですが、デザイン制作や独自機能のカスタマイズ、コンテンツ制作などを依頼すると初期費用が積み上がります。
オープンソース型は、ライセンス料は無料でもサーバー・保守・カスタマイズ開発の費用が継続的に発生します。
パッケージ型・フルスクラッチ型は、初期投資が大きい代わりに大規模EC事業の柔軟性・拡張性が確保できます。
機能別の費用感
ECサイトの機能別の追加費用も、おおよその目安を整理しておくと見積もりの妥当性を判断しやすくなります。
|
機能カテゴリ |
費用感 |
|---|---|
|
デザイン制作(テンプレート活用) |
30〜80万円 |
|
デザイン制作(オリジナル) |
80〜300万円 |
|
商品ページ制作(10〜30商品) |
20〜50万円 |
|
決済連携(標準決済のみ) |
10〜30万円 |
|
決済連携(カスタム決済含む) |
30〜100万円 |
|
多言語・多通貨対応 |
50〜200万円 |
|
会員機能・マイページ |
30〜100万円 |
|
ポイント・クーポン機能 |
30〜80万円 |
|
基幹システム連携(API構築) |
100〜500万円 |
|
サブスクリプション機能 |
50〜200万円 |
|
BtoB(卸売)機能 |
100〜500万円 |
これらは目安であり、要件の複雑さや使用プラットフォームによって変動します。
運用保守費用の相場
公開後の運用保守費用は、契約形態によって幅があります。
|
運用支援タイプ |
月額費用相場 |
主な内容 |
|---|---|---|
|
スポット対応 |
1件あたり1〜5万円 |
都度の改修・更新依頼 |
|
ライト保守 |
月3〜10万円 |
軽微な修正・障害対応 |
|
標準運用支援 |
月10〜30万円 |
定例ミーティング、改善提案、コンテンツ更新 |
|
グロース支援 |
月30〜100万円 |
データ分析、施策実装、マーケティング支援 |
EC事業を本格的に成長させたい場合は、運用支援を含めて月10万円以上の予算は確保しておくことが推奨されます。
業界統計から見るEC市場の規模感
ECサイトへの投資判断の参考として、市場全体の状況も把握しておきましょう。
経済産業省の調査によると、日本のBtoC-EC市場(物販系)は2024年時点で15.22兆円、EC化率は9.78%に達しています(出典:経済産業省『令和6年度 電子商取引に関する市場調査』2025年公表)。
EC事業の成長余地は依然として大きく、適切な投資判断ができればECサイトはROIの高い事業資産になります。
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ECサイト制作会社に依頼する流れ
ECサイト制作会社に依頼するときの一般的な流れを整理します。
フェーズごとに何が起きるかを把握しておくと、社内体制の準備や意思決定がスムーズになります。
ステップ1:社内での要件整理(期間:2〜4週間)
制作会社に問い合わせる前に、社内である程度の要件を整理しておくことが重要です。
-
事業目標:何のためのECサイトか、3年後の売上目標
-
取扱商材:商品点数、価格帯、商品特性
-
ターゲット顧客:年齢層・性別・購買動機
-
必要機能:会員機能、ポイント、サブスク、BtoBなど
-
デザインの方向性:ブランドイメージ、参考にしたいサイト
-
予算感:初期費用と運用予算
-
スケジュール:公開希望時期
要件整理が曖昧なまま問い合わせをすると、各社からの提案がバラバラになり、比較検討が難しくなります。
ステップ2:制作会社の候補選定(期間:1〜2週間)
要件が整理できたら、候補となる制作会社を3〜5社程度ピックアップします。
-
WebでのEC制作会社検索:実績・対応プラットフォーム・業種で絞り込み
-
業界のつながりからの紹介:すでにEC事業を運営している知人・パートナーからの紹介
-
プラットフォーム公式の認定パートナー一覧:使用予定のプラットフォームの認定パートナーから選定
-
マッチングサービスの活用:制作会社マッチングサービスを利用
3〜5社に絞ったら、まずは公式サイト・実績ページ・ブログなどから情報を集め、自社との相性を1次評価します。
ステップ3:問い合わせ・初回打ち合わせ(期間:1〜2週間)
候補会社に問い合わせを送り、初回打ち合わせを設定します。
-
問い合わせ時に伝える情報:会社概要、事業の方向性、検討中の規模感、希望時期
-
初回打ち合わせ:要件のすり合わせ、制作会社からの質問、ざっくりとした提案方向
-
NDA(秘密保持契約)の締結:本格的な情報交換の前に締結
初回打ち合わせでは、担当者の経験・提案の深さ・レスポンスの早さなど、コミュニケーションの相性も確認します。
ステップ4:提案・見積もりの取得(期間:2〜4週間)
候補会社から正式な提案書と見積もりを受け取ります。
-
提案書の内容:要件理解、提案するプラットフォーム、デザイン方向性、機能設計、体制、スケジュール
-
見積もり:項目別の費用内訳、運用保守費の概算
-
比較表の作成:複数社の提案を横並びで比較
見積もりは項目別の内訳まで開示してもらい、各社の前提を揃えて比較できる状態にすることが重要です。
ステップ5:制作会社の決定・契約(期間:1〜2週間)
提案内容を比較検討し、契約する制作会社を決定します。
-
稟議資料の作成:社内決裁のための資料化
-
契約書の精査:スコープ、納期、瑕疵担保責任、解約条件
-
キックオフミーティング:プロジェクトメンバーの顔合わせ
契約条件は法務・経理部門にも確認してもらい、リスクや責任範囲を明確にしておきます。
ステップ6:要件定義・設計(期間:1〜2ヶ月)
契約後、本格的な要件定義と設計フェーズに入ります。
-
詳細な機能要件:1機能ごとの仕様、画面遷移
-
デザイン制作:トップページ・カテゴリページ・商品ページ・カートのデザイン
-
データ移行設計:既存サイトからのデータ移行が必要な場合
このフェーズで認識齟齬を残すと、後工程での手戻りが発生しやすくなります。
ステップ7:構築・開発・テスト(期間:1〜4ヶ月)
設計に基づいてECサイトを構築・開発し、テストを実施します。
-
構築・実装:プラットフォームのセットアップ、機能実装、デザイン適用
-
コンテンツ登録:商品データ、カテゴリ、コンテンツページの登録
-
テスト:機能テスト、ブラウザテスト、決済テスト、負荷テスト
このフェーズでは制作会社主導で進みますが、定例ミーティングで進捗・課題を継続的に確認します。
ステップ8:公開・運用開始(期間:1〜2週間)
すべてのテストをクリアしたら、本番公開します。
-
公開直前の最終チェック:機能・デザイン・コンテンツの最終確認
-
ドメイン切り替え:旧サイトからの切り替え(リプレイスの場合)
-
公開後のモニタリング:アクセス、購入、エラーの監視
-
運用ハンドオフ:制作会社から運用支援フェーズへ移行
公開直後は想定外の不具合が出やすいタイミングです。
制作会社のサポート体制を含めて、初動対応の備えをしておきます。
要件定義から公開までのトータルで、ASP・SaaS型なら2〜4ヶ月、パッケージ型なら6〜12ヶ月程度が一般的な期間感です。
見積もり依頼前に整理すべき社内準備
制作会社への見積もり依頼の質は、社内準備の質で決まります。
依頼前に整理しておくべきポイントを具体的にまとめます。
整理すべき7つの基本情報
最低限、以下の7点は文書化しておきます。
-
事業概要:会社情報、取扱商材、現在の販売チャネル
-
EC事業の目的:新規構築/リニューアル/既存EC改善のいずれか、目標KPI
-
取扱商品:商品点数、SKU数、価格帯、商品特性(在庫管理の複雑さなど)
-
ターゲット顧客:BtoC/BtoB、年齢層、購買動機
-
必要機能リスト:必須機能と希望機能の優先度付け
-
既存システムとの連携要件:基幹システム、CRM、POSなど
-
予算とスケジュール:初期費用の上限、月額運用費、公開希望時期
必要機能を整理する観点
ECサイトの機能は多岐にわたります。
以下のチェックリストを参考に、自社で必要な機能を洗い出します。
-
商品管理:商品登録、バリエーション(サイズ・色)、在庫管理、複数倉庫管理
-
会員機能:会員登録、マイページ、購入履歴、お気に入り
-
決済:クレジットカード、コンビニ、代引き、後払い、QR決済
-
配送:配送業者連携、送料計算、配送日時指定
-
販売促進:クーポン、ポイント、セール、サブスクリプション
-
マーケティング:メール配信、SNS連携、SEO、レコメンデーション
-
分析:売上レポート、顧客分析、商品分析
-
海外展開:多言語、多通貨、海外配送
-
BtoB機能:得意先別価格、与信管理、見積もり機能
「必須」「あれば望ましい」「将来検討」の3段階で優先度を付けると、制作会社からの提案も的を絞ったものになります。
過去の販売データを整理する
既存のECサイト・実店舗がある場合、過去の販売データを整理しておくと、制作会社からより精度の高い提案を受けやすくなります。
-
月別の売上推移(直近1〜2年)
-
商品別の販売数・売上構成比
-
顧客の購買頻度・LTV
-
流入チャネル別の構成比
-
客単価・コンバージョン率
数値が整理されていると、制作会社側も具体的な改善提案を出しやすくなります。
社内の意思決定フローを明確にする
制作会社との打ち合わせでは、契約・予算・要件についての意思決定が頻繁に発生します。
誰が何を決めるかを事前に明確にしておきます。
-
予算決裁者
-
機能要件の最終判断者
-
デザイン承認者
-
プロジェクトの全体責任者
意思決定者が複数いて誰が決めるか曖昧な状態だと、プロジェクトの進行スピードが落ちます。
複数の制作会社から見積もりを取るときのポイント
制作会社の比較検討では、複数社から見積もりを取って横並びで比較するのが基本です。
比較の精度を上げるためのポイントを整理します。
同じRFP(提案依頼書)を提出する
各社で見積もりの前提条件がバラバラだと、比較になりません。
同じRFP(Request for Proposal、提案依頼書)を全社に提出することで、前提条件を揃えます。
RFPに記載する基本項目は以下の通りです。
-
会社概要・事業概要
-
EC事業の目的・目標
-
必要機能(必須/希望/将来検討)
-
スケジュール
-
予算感
-
提案してほしい内容(プラットフォーム選定、デザイン、体制、スケジュール、見積もり)
-
提案期限
-
選定基準
RFPの形式が整っていると、制作会社側も提案の質を上げやすくなります。
見積もりは項目別の内訳で受け取る
「総額300万円」だけの見積もりでは、何にいくらかかっているかが見えません。
項目別の内訳まで開示してもらいます。
-
戦略・要件定義費
-
設計費
-
デザイン費
-
構築・開発費
-
機能別の追加費用
-
コンテンツ制作費
-
テスト費
-
公開・移行費
-
運用保守費(月額)
項目別の内訳を比較することで、各社の見積もりに含まれる範囲・含まれない範囲が明確になります。
提案の質も評価軸に入れる
価格だけでなく、提案の質も評価軸に入れることが重要です。
-
要件理解の深さ
-
提案するプラットフォームの妥当性
-
想定リスクの開示
-
スケジュールの現実性
-
体制の安定性
-
追加要件への対応方針
提案書を読んだときに「自社の課題を本当に理解してくれている」と感じられる制作会社は、構築後の伴走も期待できる傾向があります。
評価表で客観的に比較する
主観だけで決めると意思決定が揺らぎます。
評価表を作成し、客観的なスコアリングで比較します。
|
評価項目 |
重要度 |
A社 |
B社 |
C社 |
|---|---|---|---|---|
|
価格 |
★★★ |
★★★★ |
★★★ |
★★★★★ |
|
提案の質 |
★★★ |
★★★★★ |
★★★★ |
★★★ |
|
実績との近さ |
★★★ |
★★★★ |
★★★★★ |
★★★ |
|
運用支援力 |
★★ |
★★★★ |
★★★★ |
★★★ |
|
コミュニケーション |
★★ |
★★★★★ |
★★★ |
★★★★ |
評価項目と重要度は、自社の状況に合わせてカスタマイズします。
ECサイト制作会社選びで陥りがちな失敗パターン
ECサイト制作会社選びでよくある失敗パターンを把握しておくと、同じ落とし穴を避けやすくなります。
失敗パターン1:価格の安さだけで決めてしまう
初期費用の安さに惹かれて契約したものの、構築後に必要な機能の追加開発費が高額で、トータルでは想定の倍以上の予算になってしまうケースです。
回避策は、初期費用だけでなく「3〜5年の累計コスト」で比較することです。
運用保守費用、機能追加費用、保守契約料を含めた総コストで判断します。
失敗パターン2:実績の数だけを見て選んでしまう
「累計1,000サイト構築」といった実績数の多さに惹かれて契約したが、自社と同じ業種・規模の実績はほとんどないというパターンです。
回避策は、実績の「量」だけでなく「質」と「自社との近さ」を確認することです。
自社と同じ業種・規模の実績があるか、それらの案件で具体的にどんな成果を出したかを聞きます。
失敗パターン3:要件定義を制作会社に丸投げする
「プロに任せれば良いものができる」と要件定義を制作会社に丸投げした結果、自社の事業実態と乖離した仕様になり、運用フェーズで使いにくいECサイトになってしまうケースです。
回避策は、要件定義は社内主導で行い、制作会社にはサポートを依頼する形にすることです。
事業目標・運用フロー・現場の実態は、自社が一番理解しています。
失敗パターン4:運用フェーズの体制を確認していない
構築フェーズだけ重視して、運用フェーズの保守体制・サポート内容を確認せずに契約してしまうパターンです。
公開後にトラブルが起きても、サポート対応が遅い・追加費用が高いといった問題に直面します。
回避策は、契約前に運用保守契約の内容を細かく確認することです。
月額料金、対応範囲、レスポンス時間、追加開発の料金体系などを明文化してもらいます。
失敗パターン5:プラットフォーム選定を制作会社に依存しすぎる
特定プラットフォームに特化した制作会社に依頼した結果、そのプラットフォームが自社の事業要件に最適でなかったケースです。
「制作会社の都合」でプラットフォームが決まると、後々のリプレイスにつながります。
回避策は、プラットフォーム選定は別の観点(事業要件・将来計画・運用体制)から自社で軸を持っておくことです。
複数プラットフォームを提案できる制作会社や、プラットフォーム選定段階からセカンドオピニオンを取る方法も有効です。
失敗パターン6:契約後の追加費用への備えがない
要件追加・スコープ変更・公開後の改修などで、追加費用が継続的に発生します。
これに備えた予算枠を持っていないと、必要な機能追加ができなくなります。
回避策は、初期予算とは別に「変動費枠」を確保しておくことです。
一般的には初期予算の20〜30%程度を変動費枠として見ておくと安全です。
失敗パターン7:契約書の条件を精査しない
スコープ・納期・瑕疵担保責任・解約条件などを精査せずに契約してしまうパターンです。
トラブル時に責任所在が曖昧になり、解決に時間とコストがかかります。
回避策は、契約書を法務部門に確認してもらうことです。
特に、納品物の定義、検収条件、瑕疵担保期間、解約条件は重点的に確認します。
制作会社に依頼するか自社構築するかの判断軸
ECサイトの構築方法には、制作会社に外注する方法のほかに、自社で構築する方法もあります。
どちらを選ぶかは、社内リソース・スキル・スピード感によって判断します。
自社構築が向いているケース
社内のリソースとスキルが揃っている場合、自社構築の方がコスト効率と柔軟性で優れます。
-
社内にWebデザイナー・エンジニアがいる
-
ECに関する基礎知識があり、要件定義を自社でできる
-
ASP・SaaS型プラットフォームでシンプルな構成にする
-
月商規模が小さく、低予算で立ち上げたい
-
立ち上げ後の改修も自社で対応できる
ShopifyやBASE、STORESなどのASP・SaaS型プラットフォームは、ノーコードで構築できる範囲が広く、社内構築の選択肢も現実的です。
制作会社への依頼が向いているケース
事業規模が大きい場合や、複雑な要件がある場合は、制作会社への依頼が現実的です。
-
社内にEC構築の経験者がいない
-
中規模以上のEC事業を計画している
-
独自機能・カスタマイズが多い
-
基幹システム連携など複雑な要件がある
-
短期間で立ち上げる必要があり、社内リソースだけでは間に合わない
-
戦略・要件定義のフェーズから専門家の知見を活用したい
外注費はかかりますが、専門家のノウハウを取り入れることで、立ち上げ後の事業成長を加速できる可能性があります。
ハイブリッド型の活用
近年は、構築は制作会社に依頼し、運用は自社で担う、あるいはその逆のハイブリッド型も増えています。
-
構築は制作会社、運用は自社(コスト効率重視)
-
構築は自社、運用支援は制作会社(戦略支援重視)
-
構築・運用は制作会社、戦略は社内(実行力重視)
自社の体制と事業フェーズに合わせて、外注範囲を柔軟に設計することが推奨されます。
Shopifyの認定パートナー制度について
ECサイト制作会社の中には、特定のECプラットフォームの公式認定パートナーとして活動している会社があります。
ここではShopifyの認定パートナー制度を例に、認定パートナーを活用するメリットを整理します。
Shopifyのパートナープログラム
Shopifyは「Shopifyパートナー」と「Shopify Plusパートナー」という2層のパートナー認定制度を運営しています。
-
Shopifyパートナー:Shopifyの構築・運用支援を提供する制作会社・開発者
-
Shopify Plusパートナー:エンタープライズ向けの「Shopify Plus」プランの構築・運用支援を提供する認定パートナー
Shopify Plusパートナーは、Shopifyの公式認定を受けるための審査基準を満たした制作会社のみが取得できる認定です。
大規模ECや複雑な要件を扱う案件で、専門的な知見を求める際に選択肢となります。
認定パートナーを活用するメリット
ECプラットフォームの公式認定パートナーには、認定外の制作会社にはないメリットがあります。
-
専門的な技術知見:プラットフォームの最新機能・APIへの深い理解
-
公式サポートとの連携:プラットフォーム運営側との直接的な連携体制
-
実績の蓄積:プラットフォーム特有の運用ノウハウ
-
専用のリソース・ツール:認定パートナー限定の開発ツール・サポート
特にエンタープライズ規模のEC案件では、認定パートナーの活用が選択肢の中心になります。
認定パートナーの探し方
Shopify公式サイトには、認定パートナーを検索できる「Shopify Experts」のページがあります。
所在地・専門領域・実績などから、自社の要件に合う認定パートナーを探すことができます。
そのほかの主要ECプラットフォーム(futureshop、ecbeing、ebisumartなど)にも、それぞれ独自のパートナー認定制度があります。
使用予定のプラットフォームの公式パートナーから候補を選ぶことも、選定の有効な方法です。
まとめ
ECサイト制作会社選びは、事業規模・運用体制・将来計画を踏まえた多角的な評価が必要です。
価格表面だけでは判断できない要素が多く、構築後の伴走力・運用フェーズでのサポート・改善提案力など、中長期の視点で見極めることが重要です。
ECサイト制作会社選びで押さえる7つのポイント
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事業規模・取扱商材との相性を確認する
自社と同じ規模・業種の実績がある制作会社を優先する。 -
対応プラットフォームと技術スタックを確認する
特定プラットフォーム特化型と複数対応型の特徴を理解し、自社のフェーズに合わせて選ぶ。 -
実績の「質」と「自社との近さ」を見る
実績の数だけでなく、業種・規模・継続支援比率を確認する。 -
運用フェーズの伴走力を重視する
保守契約の内容、改善提案の頻度、追加開発の対応速度を確認する。 -
複数社からの相見積もりで客観的に比較する
同じRFPを提出し、項目別の内訳で見積もりを取得して横並びで比較する。 -
依頼前に社内要件をしっかり整理する
事業目標、必要機能、予算、スケジュール、社内意思決定フローを文書化する。 -
契約後の追加費用と運用保守を見据えた予算設計をする
3〜5年の累計コストで判断し、変動費枠も確保しておく。
最初の一歩を踏み出そう
ECサイト制作会社選びは、情報収集と社内整理から始まります。
いきなり問い合わせをするのではなく、まずは自社の事業目標・必要機能・予算感を整理し、複数の選択肢を比較できる状態を作ることが先決です。
候補となる制作会社を3〜5社ピックアップし、同じRFPで提案を依頼することで、客観的な比較検討が可能になります。
事業の成長と、制作会社との長期的なパートナーシップ。
この両方を見据えた選定が、ECサイト立ち上げの成功確率を大きく高めます。
【無料相談】貴社のECサイト構築に最適な選択肢をご提案 ShopifyはASP・SaaS型からエンタープライズ向けのShopify Plusまで、小規模ECから大規模ECまで対応するECプラットフォームです。貴社の事業規模・運用体制・将来計画に合わせて、Shopify認定パートナーやShopify Plusパートナーとの連携を含めた最適なご提案をいたします。
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参考文献
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経済産業省『令和5年度 電子商取引に関する市場調査』2024年公表 https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/ie_outlook.html
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Shopify公式『Shopifyパートナープログラム』 https://hk241.xb-11.com/jp/partners
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Shopify公式『Shopify Plus』 https://hk241.xb-11.com/jp/plus




